ファミリア 2018 12 1

「思い出は風と共に」
 最近は、自動車の利用形態を巡って、
いろいろな議論が起こっています。
 たとえば、社員数が100名なので、
社用車を100台用意する会社はありません。
おそらく20台もあれば間に合います。
 同じ理屈で、入居者100世帯の高層住宅も、
高層住宅の管理組合が「社用車」を20台用意して、
入居者が共用すれば用が足りるのではないか。
 確かに、高層住宅の巨大駐車場にあるマイカーは、
動いた形跡がない。
つまり、ほとんど利用されていない。
たまに日曜日に買い物に使われる程度である。
所有されるだけで利用が少ない。
そうであるならば「社用車方式」が妥当かもしれません。
 一方で、私の故郷では、
たとえば、家族が5人いれば、
マイカーは、5台となります。
 駅まで遠く、自転車で解決する距離ではありません。
バス停まで遠く、バスの本数は少ない。
 そうなると、自動車の所有は、
1人1台が必須となります。
 このように都市部と地方では、
自動車の利用形態が全く違いますので、
国の政策が全国統一というのは、おかしいのです。
 さて、最近の都会の若者は、
自動車の所有意欲が皆無に等しい。
 就職活動の履歴書に「自動車免許あり」と書き込むために、
やむなく運転免許を取得しているようなものです。
 みんなで集まって遊びに行くのも、
「駅に集合」が当たり前となっています。
 昔話をしましょう。
私が大学生の頃は、マツダの「ファミリア」が大人気でした。
助手席に女性を乗せて、真っ赤なファミリアが走り抜けていく。
みんな、そんな光景をあこがれていました。
 ある者は、アルバイトにアルバイトを重ねて、
中古のファミリアを手に入れて、
ある者は、無理に無理を重ねて、
新車のファミリアを手に入れていました。
 つまり、当時の大学生にとっては、
女性にもてるということは、困難を極めました。
 今風で言う「イケメン」であると同時に、
人気の自動車を保有していることが条件でした。
 今は、「駅に集合」が標準になりましたので、
昔のような厳しい条件はありません。
 私も女性にもてたいという気持ちはありましたが、
それ以上に、オートバイが好きだったので、
楽しそうなファミリアを追い越して、
バックミラーに写る真っ赤なファミリアを眺めるだけでした。
 私のバイクは、スポーツタイプだったので、
構造上、誰かを後ろに乗せるのは難しい。
 私は、全然、楽しくなかったかもしれません。
夏になると、信号待ちで、
熱風がエンジンから登ってきて、
冬になれば、信号待ちで、底冷えする。
 それでも、春と秋は、心地よい風を感じる。
高出力・高回転型のエンジンも機嫌がよい。
ミシュラン・タイヤのグリップがよい。

MVX 2018 5 19
 「MVX250F」とは、ホンダのスポーツバイクのことで、
ライダーからは、「ホンダ初の失敗作」と言われ、
販売期間は、たったの1年で終了になったオートバイです。
 しかしながら、私は、「MVX」に興味を持ち、
「研究用」として保管したいと思ったぐらいでした。
 どこに興味を持ったかというと、
このバイクのエンジンは、
なんと、2ストロークのV型3気筒のエンジンだったのです。
 当時、250ccのバイクで、V型エンジンは珍しく、
さらに、3気筒も珍しかったのです。
このような排気量では、2気筒にするのが普通です。
 V型で3気筒エンジンとなると、
エンジンレイアウトが問題になります。
 2気筒を後方、1気筒を前方にするか、
その逆にするか、迷うところでしょうが、
「MVX」は、2気筒を前傾させ、1気筒を後傾させました。
 しかしながら、やはり、後傾の1気筒に負担がかかることになり、
そのうえ、2ストローク・エンジン特有の焼付き対策のために、
エンジンオイルを大量に消費させた結果、
1回走ると、後ろのナンバープレートが真っ黒になってしまうほどでした。
 エンジンの理想形は、6気筒エンジンですが、
さすがに、オートバイで6気筒にすることはできません。
大きなエンジンをオートバイに搭載できないからです。
 なぜ、ホンダは、市販車にV型3気筒エンジンを搭載したのかというと、
当時、世界オートバイレースにおいて、
V型3気筒エンジンの「NS500」が大活躍したからです。
 2気筒では、トップスピードが足りない。
4気筒にすると、エンジンが重くなり、空力の問題がある。
つまり、エンジンの横幅が大きくなり、空力が悪くなるのです。
 そこで、ホンダは、3気筒エンジンを開発して、
オートバイレースで成功したのです。
 ホンダは、4輪車においては、
比較的、優等生のような製品を作りますが、
2輪車においては、常識を破壊する製品を作ることがあります。
それが、ホンダらしさというものでしょう。
当時のホンダは、「奇人・変人」の集まりと言われたことがあります。
 さて、なぜ、私が、このような技術の話を書いたかというと、
今、日本が豊かであるのは、
強力な工業力で、優秀な製品を作り出して、
それを海外に輸出して、お金を稼いできたからです。
 日本に技術力がなくなれば、江戸時代の生活に逆戻りします。
現代風に言えば、「原油が枯れたサウジアラビア」でしょう。
 もちろん、今でも、サウジアラビアの油田は豊富ですが、
やがて、油田が枯渇する日が、やってくるのです。
その時、サウジアラビアは、「砂漠の民」に戻るでしょう。
日本も、技術力の「枯渇」を心配する必要があります。
 今、豊かであることを当然のことと考えてはいけません。
自分たちの子孫のために、新しい技術に挑戦する必要があります。
 あなたの前に道はなく、
あなたの後に道はできる。





























































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